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2006年10月06日

◆島根県八束郡・佐太神社の御座替神事(十一)

◆島根県八束郡・佐太神社の御座替神事(十一)


◆島根県八束郡・佐太神社の御座替神事(十一)

◆◇◆島根県八束郡・佐太神社、佐陀神能:スサノヲ命とヤマタノオロチ(3)

 『記・紀』神話のなかで、これほど大きく取り上げているヤマタノオロチ(八俣大蛇)退治の説話であるはずなのに、『出雲国風土記』には、一行も記されていない。ヤマタノオロチ(八俣大蛇)退治の説話が出雲地方を舞台(『古事記』は「故、避追はえて、出雲国の肥の河上、名は鳥髪といふ地に降りましき。」と記す)とする説話であるとするならば、『出雲国風土記』に記載が見られないことは、不思議である(『記・紀』の神話作者の造作とする説もあるが、『記・紀』にあって『出雲国風土記』にないという説話は、オホナムヂ命の根の国訪問など結構たくさんある。これについては、『記・紀』に記されているものを意識的に省いたとする説もあるが)。

 しかし、『出雲国風土記』には、「所造天下大神」と讃えられたオホナムヂ命(大穴牟遅命・大穴持命)による越の八口平定の説話がある。但し、この説話の主人公はスサノヲ命でなく、また八口は地名と考えられており、『記・紀』神話と同レベルで扱うことは出来ないようだ。

 神話学者(比較神話学)の松前健氏は、「私は、この大蛇退治譚は、やはり出雲固有の風土伝承であったと思っている。『出雲国風土記』にはこの説話自体は出てこないが、この話と切り離せない、クシイナダヒメの名と類似のクシイナダミトヨマヌラヒメという女神の名が、八岐大蛇譚にゆかりの斐伊川沿いの飯石群熊谷郷の条に出てくる。同じ郡に、スサノヲゆかりの例の須佐の地がある。この女神の名の意味はわからないが、クシイナダヒメの別名であることは間違いあるまい。クシイナダヒメが“神秘な稲田の女神”を意味することは、いろいろな筆者の論じるところである。この大蛇退治譚の話は、出雲地方で盛んな龍蛇崇拝と農耕の結びついた信仰行事から出ている。山陰地方の田の神サンバイは、往々蛇体と伝えられているし、田植歌には、稲の女神イナヅルヒメとの婚姻が歌われている。(中略)飯石群熊谷郷には、古く稲田の女神と水の神の大蛇の神婚伝承が語られ、祭りが祝われていたのを、スサノヲの崇拝が入り込んで、これを包摂し、その意味を変え、民間に流布する人身御供譚をその由来譚として採用したのであろう」と話している。


スサノヲ(スサノオ)


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Posted by スサノヲ(スサノオ)  at 10:48 │Comments(0)スサノヲ(スサノオ)の日本学

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