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2006年09月15日

◆秋の風情、仲秋の名月、月見と十五夜(七)

◆秋の風情、仲秋の名月、月見と十五夜(七)


◆秋の風情、仲秋の名月、月見と十五夜(七)

◆◇◆仲秋の名月(旧暦八月十五日)、月は不死の世界(神仙思想)

 日本人であれば、月と兎と言えば、餅つきが連想さる。また、中国では兎は不死の薬を搗き、月は不死の世界とされた(※注)。月は新月と満月を繰り返し、一度消えて復活することから、古代人は不死を感じたようである。日本でも、『竹取物語』には、月に不死の薬があるとされている。

 かぐや姫は昇天の際、月世界に戻るため不死の薬を少し嘗め、残りを翁に渡す。翁は天皇に献上するが、天皇も不死の薬など要らぬと言って、名前も不死の山(富士山)で燃やして天(月世界)に返してしまった。この話は、人は不死を拒否したとの譬えにも取れる。

◆◇◆仲秋の名月(旧暦八月十五日)、満月とかぐや姫

 「かぐや姫」という名は、「光り輝くヒメ」という名義である。これは第一に満月時の月光の謂いであろうと推察される。すなわち、満月信仰や観月民俗が「かぐや姫」誕生の前提にあったようだ。

 『竹取物語』で、翁はかぐや姫を竹筒の中に発見する(『塵袋』には、竹の中に住む兎が隠岐島へ洪水で流される話が見られる)。かぐや姫や兎が竹と係わるのは、竹筒などの閉塞された空間が、神などの不可思議な存在が出現する聖なる空間であるとする考えがある(竹そのものにも驚異的成長力から、古代の人々は神秘的な力を感じていた)。

 また、竹筒は、下から月を見るように見上げれば、円に見え、満月も円であることとする見方もある。また、月の斑点は一般的には兎とみる見方があるが、一方女性に見る見方も少なくない。かぐや姫はその光り輝く名義からも、月中の斑点に見出した美女が原型かもしれない。

※参考Hints&Notes(注釈)☆彡:*::*~☆~*:.,。・°・:*:★,。・°☆・。・゜★・。・。☆.・:*:★,。・°☆

(※注)中国の信仰や習俗の底流(基層)には、中国神話と原始宗教(人類に普遍的な豊穣と再生の信仰)が見え隠れしている。中国思想は、東洋の合理的な儒教や現実主義的な道教を第一に考えてしまうが、こうした思想が中国全土を覆い尽くす以前は、非合理的で呪術的で神秘主義的なもう一つの中国があったのである。

 そうした失われた太古の中国の痕跡が近年盛んに発掘され、ようやく解明の糸口が見えるようになってきた。その一つが長江流域の「長江文明(総称)」である。上流域の四川省の三星堆(さんせいたい)遺跡もそういった文明の一つだ。

 中国神話では、月で不死の薬草を搗く兎の説話は、西王母(せいおうぼ、西方の仙界・崑崙山に棲むという)の神話に属し、仙界の一つが月世界であった(蓬莱山なども)。


スサノヲ(スサノオ)


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Posted by スサノヲ(スサノオ)  at 00:00 │Comments(0)スサノヲ(スサノオ)の日本学

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