【出雲学】神在月と神在祭、古代出雲王国の謎(二)

スサノヲ(スサノオ)

2013年08月15日 08:46



◆◇◆古代出雲は神話の源郷、八雲立つ出雲の国

 八雲立つ出雲の国は、空と陸と海とが互いに映えあう見事な風土です(※注1)。この風土を背景に、多彩な出雲の神々が誕生し縦横無尽に活動させたのです。出雲には神話や伝承の舞台とされる場所が数多く残されています。これらの神話・伝承を、拙速に歴史的事実と混同することは厳に慎むべきことですが、しかし出雲の風土(文化的風土)はそうした神話や伝承の世界(神話は生活共同体の中で共同認識に基づいて生じたものであり、共同体の信仰がなければ消滅してしまう集団表象。古代の人々が何に感応し、何を価値として生きていたかが見えます)が、そこここに(※注2)生き続けているような不思議なリアリティをもって迫ってきます(※注3)。

※参考Hints&Notes(注釈)☆彡:*::*~☆~*:.,。・°・:*:★,。・°☆・。・゜★・。・。☆.・:*:★,。・°☆

(※注1)出雲の国の自然は、北から半島・湖沼・平野・山地と見事に配置されています。出雲の国はこれらが互いに照応しながら出雲の国の独自な風土を作り出しています。出雲の国はむくむくと雲の湧き立つのが極めて印象的な国です。寄より来る波に洗われる島根半島には、対馬海流が遥か彼方から南方の文化をもたらします。入海・内海や潟港は、古代には外来の文化が留まる良港でした。東の意宇平野と西の杵築平野には五穀を稔らせる狭いが肥沃な平野があります。その背後に横たわる深い山地には良質な砂鉄を産します。

(※注2)黄泉国訪問神話の伊賦夜坂・猪目洞窟、八俣大蛇退治神話の斐伊川・船通山、国譲り神話の稲佐の浜、美保神社の諸手船神事・青柴垣神事などや、国引き神話の島根半島・三瓶山・大山、佐太大神誕生神話の加賀の潜戸、カンナビ信仰の茶臼山・朝日山・大船山・仏経山、神在月の神迎祭・神在祭・神等去出祭などに生き続けています。特に『出雲国風土記』が伝える出雲の神々は、出雲の風土と照応して個性豊かな姿を見せてくれます(出雲の風土がそのまま人格神となったような面影を見せます。『記・紀』神話に出てこない独立神が十四柱もいます)。また、出雲のあちこちには古い伝統をもつ神社があり、古くから信仰があったことを窺わせます(熊野大神、野城大神、佐太大神といった大神伝承、出雲宗教王国の源流)。

(※注3)日本に魅せられ、神話の地・出雲に住み着いて日本研究に生涯を捧げたラフカディオ・ハーン(小泉八雲)は、『日本印象記』の中で、「神道の真髄は書籍にも儀式にも法律にも存しない。ただ、国民的心情の中に活きて永存して居るばかりである。そこに国民のあらゆる全部の魂、偉大なる霊力が潜在して震えつつある。この魂が遺伝し、内在し、無意識的、本能的に働いているのが、神道である。神道を解するには、この神秘な魂を知らなくてはならぬ」と述べています。また、ハーンは『杵築』というエッセーの中で、出雲大社の最高祀官・出雲国造と対面した感想を、「古代ギリシャのエレウシスの秘儀を司る最高官(人の生死の秘密を知り、その再生の秘儀に携わる神官)」を思わせると、そのときの印象を感動的に述べています。さらに「杵築を見るということは、とりもなおさず今日なお生きている神道の中心を見るということ、・・・悠久な古代信仰の脈拍にふれることになる」と述べています。

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「八雲立つ出雲の国」には、空と陸と海とが互いに映えあう見事な風土が今もあります。
この風土を背景に、多彩な出雲の神々が誕生し縦横無尽に活動したのです。
出雲の風土の中にいると、神話や伝承の世界が、
そこここに生き続けているような不思議なリアリティを感じてしまいます。

◆Webサイト「出雲神話・古代出雲に出会う旅」
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