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2012年01月03日

◆正月祭りのフォークロア、日本の基層(二)

◆正月祭りのフォークロア、日本の基層(二)

◆正月祭りのフォークロア、日本の基層(二)

 家々に新しい魂を授けに来てくれるのが歳神(年神=としがみ、正月様、歳徳神、若歳神、御歳神、大歳御祖神)(※注1)である。歳神(年神)とは穀霊神(農耕神)であり、また祖先の魂(祖先の霊)と考えられていた。

 「トシ」(※注2)というのは一年のことであり、苗作りから稲刈りまでの一周期も意味している。米を「トシ」ということもあった(「イネ」そのものの意味もあった)(※注3)。

 つまり「トシダマ(歳魂)」は、トシ=米を作るのに不可欠な霊力でもあったのである。歳神(年神)はその年の新しい「トシダマ(歳魂)」を持ってきてくれる神様であったのだ。その「トシダマ(歳魂)」の象徴が米であり、餅であり、握り飯であったと考えられている。

※参考Hints&Notes(注釈)☆彡:*::*~☆~*:.,。・°・:*:★,。・°☆・。・゜★・。・。☆.・:*:★,。・°☆

(※注1) 歳神(年神)は「大歳神(大年神)」「御年神(御年神)」とされている。『古事記』では、「大歳神(大年神)」はスサノヲ命(須佐之男命・素盞鳴尊)の子神で母神はカムオオイチヒメ(神大市比売)とし、「御年神(御年神)」は「大歳神(大年神)」の子神で母神はカヨヒメ(香用比売)としている。

 しかし、この神は同一の神とも考えられ、穀物霊や稲魂を神格化した農耕神だあったようで、五穀豊穣の守護神であった。「年」は「稔」と同音で、稲が発芽し生育し穂を稔らせて一巡する期間が一つの「稔」とされ、これを一年としたという。

 『古事記』が「大歳神(大年神)」を、穀霊神であるウカノミタマ(宇加之御魂)神の兄弟神としているのもこのためである。

(※注2) 『万葉集』には、稲がよく実るの意味で「年=としは栄える」という表現がありますし、「年得(としう)」という言葉にも稲(穀物)がよく実って豊作であるという意味として用いられる。

 この「トシ」の神が「歳神」「年神」「歳徳神(としとくじん)」などと呼ばれる神で、元は歳月の神というより「稲の神」「豊作の神」、いわゆる「穀霊神」であった。

 他方、藤原兼輔の『後撰集』(平安時代)には「妻のみまかりての年の師走の晦の日、ふること言い侍りけるに、亡き人の共にし帰る年ならば、暮れ行く今日は嬉しからまし」とあるように、正月が御魂祭りの風習を持っていたことも窺わせる。

(※注3) 物みなすべて(万物万霊、森羅万象)に魂が宿っているというのが日本人の信仰の基本であった。そして「魂」という名の生命エネルギーは、時が経つと衰えてしまうと考えられていた。

 こうしたことから、日本人は一年の節目節目に祭りを行ってきたのである。祭りによって神の威力を更新し、人間の魂も新しくすることができると考えられていたからである。正月祭りもこうした意味により執り行われる年中行事であったのだ。

 また、歳神(年神)が山にいる期間は万物がひそかに忌み籠もる期間とされ、命の再生を待つ期間と考えられていた。そこでこの期間のことを、古代の日本人はフユ(冬)と呼ぶようになった(フユとは「御魂の殖(ふ)ゆ」の「殖(ふ)ゆ」であり、じっと辛抱して忌み籠もる間に、新たな生命が殖ゆる期間を意味した。そこで冬には、死にかけた太陽を復活させるための、様々な太陽祭祀が行われた。鎮魂祭も元来、この「御魂の殖(ふ)ゆ」の祭りであり、日神の御子である天皇の霊力の賦活をはかる儀礼であったのである)。

 冬至(冬至期こそが太古の正月であった。太陽の死と再生の時期)を過ぎると死にかけた太陽は徐々に復活する。すると山に帰っていた歳神(年神)が里に降りて来て、春(「ハル」は「ハレ」であり、木の芽が一斉に「張(は)る」季節であり、新たな生命が瑞々しく胎動し始める季節であったのです)が訪れると考えたのである。

 この歳神(年神)を迎えて、新年の豊作を願い、祖霊祭り(御魂祭り)を行うのが、正月の様々な祭りであったのだ。

スサノヲ (スサノオ)

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◆2012年 古事記編纂1300年記念

 「なにごとの おわしますかは 知らねども かたじけなさに なみだこぼるる」

  この言葉は、仏僧であった西行法師が伊勢神宮を参拝した際に詠んだとされる歌である。
自然崇拝を起源とする日本の神々は、目には見えない。

 しかし八百万の神々は、神話の時代から今日に至るまで、時代とともに変化しながらも、さまざまな思想や宗教と宗教などと習合しながら、常に日本人の心に生き続けてきた。

 2012年、現存する中では最古の歴史書「古事記(こじき・ふることぶみ)」が1300年を迎える。この「古事記」という書物には「国土の誕生について」「日本の神々について」「日本の歴史について」、「日本」と「日本人」のこの国のすべてのことが古代の人々の感性で語られている。

 また、日本全国の神社で祀られてる「アマテラス」「スサノヲ」「オオクヌシ」などの神々の物語である「天の岩屋戸開き」「八岐大蛇退治」「稲葉の素兎」などがいきいきと描かれているのだ。

 古代の人々が心に描いた世界観である「八百万の神々が今も生きる日の本の国の神々のものがたり」を知ることで、今一度「日本」と「日本人」のことを真剣に考えてみよう。いや、エンターテイメントとしても大変に面白い物語だ。この記念すべき年を機会に、ぜひ読んでみよう。

スサノヲ (スサノオ)



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Posted by スサノヲ(スサノオ)  at 14:29 │Comments(0)スサノヲ(スサノオ)の日本学

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